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【社員インタビュー】「IMK Books」編集長が語る出版×デジタルマーケティングの新たな可能性とは?
株式会社IMKが行っているエデュテイメント事業の1つに「出版事業」があります。
近年不況が叫ばれる出版事業をなぜ今やるのか?
どういった想いで本を作り続けているのか?
今回は、IMKの出版事業レーベル「IMK Books」の編集長を務める松隈にインタビューを敢行!
これまでの経歴から、IMKで出版事業に携わることになった経緯、これからの出版に懸ける想いなどを話していただきました。
松隈勝之 –Katsuyuki Matsuguma–
「IMK Books」編集長。大学卒業後、コピーライターとして雑誌・新聞等の広告制作に携わる。29歳の時、ノンフィクション書籍の出版社にて書籍の営業、取次請求業務などを経験して出版ビジネスに興味を持つ。その後、ビジネス書の出版社に入社、編集者として活躍ののちに同社の編集長に就任。2018年、出版とダイレクトレスポンスマーケティングを掛け合わせたビジネス形態に可能性を感じてIMKにジョイン。出版事業「IMK Books」を立ち上げる。現在は編集長として、ビジネス書、健康書の編集に携わりながら書籍LPも同時に手掛けている。
出版×ダイレクトレスポンスマーケティング!?
IMKが行う出版事業とは?
―本日はよろしくお願いいたします!まずは現在のお仕事について教えてください。
現在は「IMK Books」編集長として、海外のビジネスや健康に関する翻訳本を編集・広告販売ページ作成まで一本化して行っています。選書のリサーチから始まり、版権を取得後、翻訳手配、原稿整理をして、デザイナーと一緒に中身や表紙を作りながら1冊の本を仕上げています。
出来上がった本は独自のサイトで販売するため、本の販売ページ=LP(ランディングページ)も自分たちで作っています。Webサイトで「どんな本なのか」「この本を読むことでどんな知識や情報が手に入るのか」をしっかりとお客様に伝えることができるので、編集業務と同じくらいのやりがいと熱量を持って取り組んでいます。
―本のプロモーション部分にまで携わるというのは編集者としてはかなり珍しいですよね。
そうですね、こういった部分は普通、編集者ではなく宣伝部などの仕事ですよね。IMKは、出版事業を行っていますが、既存の出版ビジネスの形態を取っていないんです。通常の出版ビジネスでは、出版社が本を作り、取次業者によって物流に乗り、書店に並ぶというのが大きな流れですが、「IMK Books」は書店には並べず、ネット上のみで販売しています。
―なぜネット販売だけなのでしょうか?
出版は出版でも、IMKでは「ダイレクトレスポンスマーケティング」を用いて書籍の販売を行っているからです。
ダイレクトレスポンスマーケティング(DRM)とは?
広告やネット配信された情報に対して反応・返答があった相手に対して直接商品やサービスを販売するマーケティング手法のこと。広告媒体自体が商品のときもあり、利益ではなく広告・集客を目的としているため集客商品(フロントエンド商品)と呼ばれる。対して、その後販売する利益目的の商品を利益商品(バックエンド商品)という
通常の書店販売では、本が売れても、出版社は顧客データを取得することができません。そのため、ネット販売を通じて直接お客様へ商品を届ける体制を取っている、というわけです。
―顧客リストというのはダイレクトレスポンスマーケティングには非常に重要なポイントですよね。
そうなんです。例えば、「IMK Books」では、本にご満足いただけなければ全額返金をさせていただいていますが、お金は返すことになっても、顧客リストは手元に残ります。その顧客リストに対して、別の本や商品を案内することができるのです。1度ダメだったとしても、セカンドチャンスやサードチャンスがあるので、顧客リストが手に入るだけでとても価値のあることなんですよね。
コピーライターから編集者へ
苦労と経験で見えた新たな出版の可能性
―松隈さんは以前からそういったマーケティング関連のお仕事をされていたのですか?
いえ全然です(笑)。前職から編集者で、さらにその前はコピーライターをしていました。
ーコピーライターだったんですか!どういった経緯で現在この仕事に?
大学を卒業して求人広告のコピーライターになって、その後いくつか会社を変わりながら商品広告や企業広告を担当していました。
ですが、30歳手前で自分のコピーライターとしての適正に限界を感じてしまって……。書くことや文章を考えることが「つらい。苦しい」と思うようになってしまったんです。コピーライターは自分の仕事がどのくらい売上に貢献しているかが可視化しづらい仕事です。その状態で今後コピーライターとしてどうステップアップしていけば良いかがわからなくなってしまったんです。
そこで思い切ってコピーライターを辞めて、出版業界に目を向けました。出版であれば広告と同じく言葉を扱う仕事なので、何かしら自分の経験が活かせるのではないかと思ったのと、「本が売れれば正解。売れなければ不正解」という答えがハッキリしているところに魅力を感じました。これなら努力のしがいがあるとも感じましたね。
―それが編集者人生のスタートだったんですね!
いえ、実は最初は編集「以外」の仕事から入ったんです。コピーライターをやめた後、4~5人くらいの小さなノンフィクション系の出版社に入り、書店営業から本の搬入手配、取次請求業務まで一手に引き受けていました。というのも、まずは出版のビジネススキームを知りたかったんですよね。作った本がどういった流れで利益に変わっていくのか、全体像を知ってから編集者になりたいと考えていました。
結果、「出版ビジネスは面白い!」と思いました。特に面白いと思ったのが、たった数人で作った本が北海道から沖縄まで全国の書店に並ぶということです。今はインターネットでモノを買うことが普通なので、1人で作ったものでも売ることは可能ですが、当時、大手商品でないものが全国で販売できるなんて出版以外ではほぼ不可能でした。こんな小さな規模で作った商品を全国に提供できることにすごくチャンスを感じました。
その後、前職の出版社に転職をしてようやく編集者としてスタートしました。1998年くらいだったと思うので、だいぶ前ですね(笑)。
―ちょうど出版業界がピークの時期ですよね。
そうですね。新刊はほぼ必ず平積みしてもらえましたし、簡単に書店から注文が取れていた時期です。私も編集者として10万部、20万部の本を作れるようになって、2007年には同社の編集長に就任することになりました。ただもうその頃には出版不況がすでに深刻化していました。私も、個人としてヒットを狙う編集者という立場から“会社の売り上げを出さなきゃいけない”編集長という立場になり、かなり苦心しました。
―プレイヤーからマネージャーに、ということですもんね。
それもありますし、その出版社は通常の出版社と違っていて、書店で売る本に資料請求ハガキを付けて、それを送ってくれた読者に対して営業をして、別の商品を案内することで利益を出していた会社だったんです。
―あれ、それって……?
そうなんです。当時の出版社としては画期的なダイレクトレスポンスマーケティングの形態を取っていたんですよ。なので、書店での売り上げも求められて、且つ資料請求ハガキの枚数も求められる……というかなりハードな評価制度でした。どちらか一方が良くてもどちらか一方の数字が悪ければ評価されなかったので、なかなか大変でした(笑)。
そんなときにデジタルを使った「ダイレクトレスポンスマーケティング」という手法を知ったんです。
―それが「IMK Books」の原点になっているんですね!
そうですね。すぐに社内で「デジタルマーケティングに移行しないか」という提案をしました。……ですが、この提案が全く受け入れられなかったんです。
―えっ、どうしてですか?
多くの出版社は最初に説明した、出版ビジネスの流れから脱することができないんですよ。既に書店で本を並べている出版社としては、ネットで独自に販売を行うことは書店を裏切ることになってしまいます。既存の出版流通システムには、割引や返金保証というものがなく、全国どの書店であっても同じ本は同じ値段で売らなければなりません。出版社にとってそれを守らないというのは、これまで築き上げてきた関係を壊すことに等しく、リスクが大きすぎるんです。
でも、世の中がすごいスピードで変わり続ける中でこのままで良いのかという思いが私はあって……。どうしたら良いかと行き詰っているときに出会ったのがIMK代表の小林(亮太)でした。
―出会いのきっかけはなんだったのでしょう?
小林が前職にプロモーションの営業に来ていたときに知り合いました。タイミングが合わず、前職で一緒に仕事をすることはなかったのですが、私が退職するタイミングで再度会う機会があり「ダイレクトレスポンスマーケティングの出版事業をやりたい」という話をしました。すると「じゃあそれ、うちでやってくださいよ」と言われたんです。出版業界では誰に話しても「そんなことできるわけない」と一蹴されてしまって、うまくいく確信があるのに「やっぱり自分が間違ってるんだろうか……」と自信をなくしていました。まさか「やってみてください」と言ってくれる人がいるなんて思ってもみなかったのでとてもうれしかったですね。
それがきっかけでIMKにジョインして、出版事業立ち上げに携わることになりました。
可能性を信じてIMKにジョイン!
「IMKは挑戦心を応援してくれる会社」
―立ち上げ期、印象的だったことはありますか?
とにかく大変でしたね。当たり前ですがバックエンド商品がはじめは全くないので苦労しました。直近で発売した『ケトタリアン』でようやくバックエンド商品も整ってきたかなという実感があります。
―なるほど。立ち上げ期、LPも同時に作っていったのでしょうか?
そうですね。LPが活用できるから、このビジネスが成り立つと思った部分も大きいので本を作るのと同じくらいの熱量で作っています。
―具体的に、LPはどういった点が重要なのでしょうか?
2つあって、1つは、こちらが伝えたい情報を余すことなくお客様に伝えられるということです。
LPに記載されていることは、本で例えると表紙や帯に書かれていることです。タイトルや著者、キャッチコピーや紹介文、そして一番重要な特別価格や返金保証といった販売条件です。本であればスペースにかなり限りがありますが、LPはインターネット上の1ページなので、際限がないというのが非常に大きな利点となっています。お客様にとって必要な情報、「これだったら買ってみよう」と思ってもらえる情報を余すことなく記載できます。
もう1つは販売機会をコントロールできる点です。本は出版社にいれば作ることができますが、実際の売り場である書店のコントロールはできません。どれだけ自分たちが売りたいと思っている本でも書店から注文をもらわないと店頭に並べることはできませんし、仮に書店から注文が入ったとしてもどう並べられるかはわからないし、期間も数日で棚から外されてしまうかもしれない。そう考えると、こちらが実際売りたいと思っているお客様へ届けられる確率はかなり低くなります。
ですが、インターネット広告であれば「どのようにこの本のアピールするのか」は内容も手法もこちらで考えて検討することができます。この販売機会をコントロールできるインターネット広告の特徴こそ、自分たちが売りたい本を売りたい方へ最大限アプローチできる方法だと思ったんです。
―本を売る方法としてはかなり画期的な手法に感じるのですが、なぜ既存の出版社はこの方法を取り入れないのでしょう?
書店を裏切れない、というのが最も大きい理由だと思います。出版社にとって書店はやはり大きな存在ですし、資料請求ハガキを使って営業をしていた私の前職出版社でさえ、そこは変えられなかった。
―なるほど。LPを作るのも最初は大変だったのではないですか?
最初は大変でした。ただ、やっていくうちに「あれ、これコピーライターとしての経験が活きる仕事じゃないか……?」と気が付いたんですよね。回り回って最初の頃の経験が活きるとは思いませんでした。そう考えると、前職の出版社にいなければダイレクトレスポンスマーケティングという手法にも気づくことはなかったと思いますし、これまでの経験はすべて必然だったのかなという気がしています。
―これまでの経験を活かして、別の仕事に挑戦できるのは素敵ですね!IMKの魅力はやはりそういった新しいことにチャレンジできるところにあるのでしょうか?
そうだと思います。「とりあえずやってみる」という挑戦心をとても応援してくれる会社なので、「IMKでこんなことがしてみたい」ということがあればどんどん声をあげてほしいと思います。職種は違っても、同じ志のメンバーが集まっているのでみんな協力してくれますしね。
ある意味「何も決まり切っていない」という状態なので、変化も多いです。その変化を楽しんで、むしろ決まってないなら自分で作っていきたい!という方は活躍できるんじゃないかと思います。
―最後に、今後の「IMK Books」の展望をお教えいただけますか?
まずは毎月価値ある翻訳書を安定して出せるような体制にすることと、ダイレクトレスポンスマーケティングだけで10万部、20万部と売れる本をつくることですね。これからますますがんばっていきたいと思います!
―ありがとうございました!